8 学会発表および司会、討論者

(1)「冷戦後のアメリカ軍-新しい任務の模索(環境安全保障政策を中心に)」 アメリカ学会第29回年次大会自由論題A。1995年(平成7年)6月3日、仙台国際センターにて 国防総省は、地球規模・地域的環境問題が紛争の原因になるとして、環境安全保障の概念を唱えている。しかし、実態は、基地内の累積汚染の除去などが中心でしかない。こ の汚染除去努力自体は、高く評価できるものである。

(2)「CTBT交渉とその主な争点(法律・機構問題を中心に)-交渉参加者の視点から」日本平和学会1997年度秋季研究大会:軍縮と安全保障コミッション、1997年11月16日 一 橋大学にて CTBT交渉におけるさまざまな争点を網羅的にしかも詳細に解説し、その各々の争点に関して、批判や反対意見を紹介しながら、なぜ条文のようにならざるを得なかったか分析 した。基本的には、条約の批判意見には欠点が多いとして条文を支持したが、発効要件に関しては理解を示しながらも問題が多いと論じた。

(3)'Verification Issues in CTBT Negotiations', 17th International Peace Research Association General Conference, Security and Disarmament Commission, 23 June, 1998、at Univ. of Durban - Westville, Durban, South Africa. CTBT交渉における青信号方式・赤信号方式などの検証問題の争点を検討し、その長短を論じた。そして、インドの当該問題に対する主張は、前文に対する「時限付き」核軍縮 提案と矛盾すると指摘した。

(4)「核実験の定義と包括的核実験禁止条約の基本義務」防衛学会平成11年度秋季大会共通論題「核不拡散体制の行方」平成11年11月20日、防衛研究所にて CTBTの基本義務は核爆発実験を禁止しており、連鎖反応が起こる寸前で実験を停止すれば核爆発でないと解釈されている。そのため、未臨界実験や流体力学実験は禁止の対象 外となっている。条約では明示されていない核爆発実験の定義方法をいろいろ検討するが、自然界でつねに核分裂が起こっているために、明白な定義はきわめて難しいと結論 付けている。

(5)'U.S.'s Proposed BMD(NMD and TMD)Deployment and Its Implication for North-East Asia', 42nd Annual Convention of the International Studies Association, Regional Security Issues II: East and Southeast Asia and the 21st Century Section (International Security Studies), Feb. 23, 2001 at Hilton Chicago and Towers, Chicago, IL., U.S.A. 米国のNMD計画は、ロシアよりも中国に深刻な影響を与える。もっとも、ロシアと中国の短期的な軍事的対応策は限られている。TMDに関して、わが国の場合ではPac-3は中国も 認めており、導入に大きな障害はないが、高層防衛用の例えばNTWDは国内法的にも問題が多いと論じた。韓国は導入しても意味がなく、台湾の場合は政治的意義の方がはるか に大きいと指摘した。

(6)’In Support of CTBT: An Argument for CTBT Ratification by the US’, 43rd Annual Convention of the International Studies Association, Proliferation Problems and Non-Proliferation Solutions Section(International Security Studies), March 24, 2002, at The New Orleans Marriot, New Orleans, LA., USA 米国上院でのCTBT審議に関する公聴会などで戦わされた批准是非論では、検証問題、核兵器の信頼性・安全性、核爆発実験の定義問題、さらには発効要件などが主要な論点に なった。こうした論点を詳細に検討しながら、核爆発実験を禁止しても(CTBTを批准しても)米国の核抑止体制を損なわないと論じた。

(7)「核兵器の信頼性・安全性・質的向上-核爆発実験との関連で」日本国際政治学会 2002年度研究大会、安全保障分科会II(C-8)、2002年11月16日、淡路島夢舞台国際会議場にて 核実験では、安全性・信頼性を峻別して議論する必要がある。信頼性は核弾頭が全過程を通じて設計通りに機能することを指し、核戦力の「有効性」に繋がる。したがって、 当該核戦力の評価や戦略との関連で、現在ほど厳密な基準の維持は必要ないとも論じられる。また、問題とされる核関連部品の経年劣化は、心配されたほどではなく、むしろ 肝心の各部品に関してはむしろ安定化するとの実験結果もある。それに対して、安全性は文字通り事故などを防ぐ基準である。一般的には、one-point safety基準をさし、事 故時の放出エネルギーがHE換算で4ポンドを超えるのが10-6以下の確率でなければ行かないである。核爆発実験で何度も確認する必要はいまさらないと言える。要するに、未臨 界実験などは、実際は信頼性の確保を目的としており、現在の米国の圧倒的な核戦力を考えると、その必要性が薄れる。ただし、地中貫徹型戦術核兵器(bunker-buster)の開 発は別問題である。

(8)’ A Rational Analysis on the Negotiations to Shut All Chernobyl Reactors Down’, Central and East European International Studies Association and International Studies Association International Convention, Game Theoretic and Economic Approaches to Negotiation Section, June 28,2003, at Central European University, Budapest, Hungary チェルノブイリ原発の完全封鎖交渉を、2人(G-7とウクライナ)ゲームにおけるナッシュ交渉解を活用して分析し、予想される(当時はまだ完全決着していなかった)結論が 「公平」と解釈できるかどうか、さらにはG-7とウクライナのどちらがより「上手」に交渉したか推測した(付与の基本条件から得られるナッシュ解と実際の予想決着点の相違 から)。ウクライナは原発の完全封鎖を拒否するという究極的な「威嚇(脅し)」の潜在能力を持っていたが、必ずしもその潜在能力を生かしきれなかったとの結論になった 。それは、良書がもっとも懸念していた論点が相違し、当該論点が「分割」可能か否かによるものであり、両者の交渉能力自体の影響は少なかったと推測している。

(9)討論者、黒澤満「国際核不拡散体制の展開―2005年NPT再検討会議を中心に-」国際政治学会関西例会、平成17年10月22日、アプローズタワー13階第5号室(梅田) わが国の動き、第三主要委員会補助機関での「脱退」に関する討議、北朝鮮の「脱退」の法的解釈と国連安保理の「権限」、南アやエジプトの動き、カナダの常設機関設置提 案への米国などの反応などにコメントし討議した。

(10)「投票力指数から見た国連安保理改革案の比較・検討-わが国の投票力を中心に-」国際政治学会2005年度研究大会「理論と方法」分科会セッションB、平成17年11月18日 、於)札幌コンベンションセンター 国連安保理改革で提案されたA案、B案、G-4案、アフリカ連合案、コンセンサス連合案における投票力をボルジャー指数を使って算出し、各案におけるわが国の投票力を中心に 比較・検討した。投票力だけの視点からすると、わが国はG-4案を推奨したが、それは常任理事国になれる公算が大きいとの見込みに基づくと思われる。投票力だけからの視点 では、常任理事国に成れるG-4案とB案で有意な差はないと思われる。わが国の常任理事国入り阻止を念頭に置いたと見られるコンセンサス連合案でも、大きく投票力が異なる わけでもない。わが国の常任理事国入りへの強い反対、安保理自体に拡大への反対を考慮すれば、B案がG-4案よりも良かったのではないかと推測できる。

(11)討論者、公共選択学会第10回全国大会第IVセッション、セッションIV-3(グローバル公共財)藤本茂・吉田和男「グローバル公共財としての地球秩序」平成18年7月2日、 於)京都大学 全体的な研究の指向を首肯しながら、以下の点を指摘した。地球秩序の概念のあいまいさ、公共財概念の精緻化が望まれる([0,1]のデジタル的供給であるが、ステップ財的供 給も考えるべき)、クラブ財の概念が実際の分析に用いられておらず、当該時期の政治的分割(冷戦時の東西両陣営など)歴史的事実によりアプリオリに設定されている、単 一公共財が供給される層がいくつか積み重なって秩序が創生されるというレジーム論的な立場での分析であるが、統一的な説明を指向しているのであるから、同一平面(次元 )における多数財の同時供給を考えるべき。

(12) “An Analysis of the Life-Cycle Process of the Global Order-from the Perspective of Global Public Goods-”  the 63rd Congress of the International Institute of Public Finance, Aug. 29, 2007, Warwick University, Warwick, the UK. (藤本茂、吉田和男と共同で。竹内が発表者) We argued that the concept of global public good should be used as the unified, overall denominator to describe comprehensively many problem areas as to the stability of a global system. We also argued that club as a volunteer group can describe the process of forming a public good supplier group as well as how the size of the group will be determined. These two aspects, process and size, has eluded any significant analysis for the public good approach thus far. The Post-WWII period is oftentimes divided into two eras, i.e., the Cold War and Post-Cold War. We argue that it should be divided into three periods,1) Pax Americana and Cold War Era: 1945 to 1960s, 2) Post-Pax Americana and Cold War: 1970s to 1990, 3)Post-Pax Americana and Post-Cold War:1990 to the present and for the foreseeable future, based on the above mentioned public good concept. 第二次世界大戦後の時代を、グローバル公共財の概念およびクラブ理論を活用して分析・説明した。国際秩序(システム)はグルーバル公共財の供給で維持されるが、そのシ ステムの構成国数という側面では、クラブ理論を活用してメカニズムを説明した。その結果、冷戦期とポスト冷戦期で分けるのが通例であるが、冷戦期でパックス・アメリカ ーナの時代、冷戦期であるがパックスアメリカ-ナ後の時代、冷戦後でパックス・アメリカーナ後の時代に分類するのが適当であり、各期間の特徴を当該公共財の供給方法に 焦点を説明した。

(13) ‘An Analysis of the United Nations’ Security Council Reform Proposals from the Perspective of the Bolger Index’, Section on UN, Security Council, and Reforms, July 22, 2009, ABRI-ISA 2009 Joint International Meeting (Brazilian International Relations Association and International Studies Association), July 22-24, 2009, At Pontifical Catholic University, Rio De Janeiro, Brazil This is an expanded version of the analysis of the UNSC reform proposals that I have done for Japan by using the Bolger index. The Bolger indexes for all other major countries are calculated this time. The conclusion that I got is that the semi-permanent seat idea of the Model B would be least opposed. To give a veto power to new permanent members will most likely vetoed by the current P5.

(14)「北朝鮮のミサイル発射に伴う策源地攻撃論について」国際安全保障学会2009年度年次大会、分科会II-③ 自由論題、平成21(2009)年12月6日、於)同志社大学今出川キ ャンパス 北朝鮮がミサイル発射実験や核実験を実施していることに対して、わが国の一部では北朝鮮のミサイル発射基地など(策源地)を攻撃する選択肢の検討を声高に唱えるように なった。これに対して、策源地攻撃論を唱えること自体が北朝鮮を刺激し、リスクの高い瀬戸際戦略にさらに追い込んでしまう公算が大きく、わが国の安全にとっては逆効果 で好ましくない。北朝鮮が移動型ミサイル発射基を備えていることから、効果のある策源地攻撃は実際は実現が困難である。アメリカの拡大抑止に依拠しながら、わが国は拠 点防衛型の「破れ傘」的ミサイル防衛網を構築すればよいと述べた。

(15)司会兼討論者、アメリカ学会第44回年次大会、部会A「逆説のアメリカ-核政策と核意識を中心に」平成22(2010)年6月6日、於)大阪大学吹田学舎 社会科学系の2名が、安定的な相互抑止の状態から軍縮に向かうと拡大抑止の信憑性が低下すると指摘し、文学系の2名はアメリカ映画における戦争での加害意識と被害意識、 「生・権力」への抵抗が逆にバイオポリティクスの虜になってしまうなどを論じた。討論者としては、拡大抑止の信憑性の確保をする方策は、なぜバイオポリティクスの虜に なるのかなどを質した。

(16)パネリスト、第3回日本公共政策学会関西支部研究大会、シンポジウム「学問としての公共政策学 BASIC公共政策学シリーズの刊行が有する意味」2010年8月7日、於)京 都府立大学 10人いるパネリストの一人として、本シリーズでゲーム理論をどのように位置づけたか、公共政策学は「学」と言えるのか、今後どのような教育をし研究を発展させていくべ きか、公共政策学と他の学問との相違は何かなどについて述べた。

(17)討論者、日本国際政治学会2010年度研究大会、理論と方法II分科会、「グローバル公共財学の構築に向けて」、2010年10月29日、於)札幌コンベンションセンター 石黒論文に対しては、非対称性と外部性を取り込んだ点を評価した上で、考慮された戦略が純粋戦略だけなので、定性的な分析には役立っても、現実は混合戦略である。1回限 りの静学的な分析なので、動学化による安定性の検証も必要と指摘した。藤本論文では、やはり動学化の観点から、電脳模擬実験をどのような方針のもとに、実際に活用する のか、クラブ理論における加入の誘因構造二言及されていない、などを指摘した。瀬島論文は、試行結果のまとめをシステム的にまとめるにはどうする方針かなどを質した。

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